モントリオール 留学#16
週末になると教会とカフェに行くのが日課になっている。
隣にいたおばさんに
「彼らに挨拶をしたいのだけれど。見せてくれてありがとうという感謝を伝えたいの。」
と尋ねると、十字の切り方を教えてくれながら、
「あなたの宗教の挨拶はどういう風なの?」
と尋ねられた。
「特にこれと言ったものはないんだけど。」
と言いながらお辞儀をすると、
「あぁ!アジアン。」
と笑った。アジア人特有の仕草として見覚えがあったようだ。
「難しければそれでいいと思うわよ。」
と言われた。
来週からはもっとLanguage Exchangeなど、人と話せる場所に行かなければと思う。
この週末はまるで夏で、日本の夏のようにジメジメしていなくて「からり」と晴れているから本当に気持ちがよかった。チューリップはいつの間にか満開を通り越して花びらが落ちかけている。
みんなサングラスをしてショーツにTシャツで、庭やテラスで日光浴を楽しんでいた。モントリオールは年間を通して日照時間が短いので、晴れた日にはみんなとにかく日光を浴びるそうだ。先生に日焼けは気にしないのかと聞いたら、「日焼けした綺麗な肌はセクシーだよ」ときっぱり言われた。かく言うその先生は日焼けしても赤くなってすぐポロポロと剥けてしまうタイプだそうで、「つまらないんだよね。」と言っていた。
子供の成長に必要なビタミンDのために日光が必要だが、日照時間が少ないが故に子供はビタミンDのサプリメントを飲むことが多いそうだ。なるほどこっちの薬局に子供向けのカラフルなサプリメントがたくさんある理由が分かったような気がした。
夜には初めて1人でライブを見にいった。
帰り道、凍えながらバスを待っていると、さっき一度通り過ぎたお姉さんが
「そのバス、キャンセルで来ないと思うわよ。」
と教えてくれた。
「ありがとう。」
と口では言ったものの、本当にどうしようと思った。HPで調べてみると家に帰る方面のバスは全て止まっているようだ。時刻は深夜1時。タクシーもなぜかいなくなっていた。その時、全く別の方面に行くバスが止まっているのが見えたので、飛び乗って、運転手さんに
「〇〇方面に帰りたいのだけれど、全部バスが止まっているの。タクシーもいないし、電車も終わっているでしょう。どうしたらいいかわからなくて。」
と泣きついた。運転手さんは突然バスに乗ってきた子供のような見た目をした半泣きのアジア人に戸惑いながら、
「分かった分かった。」
と言って、道を全部調べてくれた。
「このバスは止まってないはずだから、このバスに乗るといい。あそこから乗れるはずだから、ついておいで。」
とバスから降りてバス停を案内してくれた。なんて優しいんだ。と思った。
「大丈夫、怖いことがあればその辺の人に話しかけるかSTM(バス会社)に電話するといい。モントリオールはいい街だ。」
いつかSTMの株が欲しいと思っている。
こうして脈絡もなく文章を書いていると、どうでもいいことをたくさん思い出す。
部長やってたなら就職強いね、インターンやってるなら就職強いね、留学行くなら就職強いね
ここ1年くらいよく言われた言葉たちだ。
窮地に陥った組織を救ってみたくて部長をやって、もっと自分で考えて動けるアルバイトがしたくて、海外で頑張れるしなやかさが欲しくてこうしてきたのに、なんだか打算で全部動いているように言われてとても悔しかった。
でも私はとても弱い人間なので、
「そんな事ないよ〜。」
とヘラヘラしていた。
何していようが就活に確実なんてないだろうし、っていうか就活に強くってもなんの意味もないのに。少なくとも私の人生のキャリアプランには意味がない。
先を読む力、その時々に頑張れる力、変わる環境に対応していけるしなやかさと強さ。それが一番欲しいものだ。