モントリオール留学#9
今朝は少し寝坊した。寝坊するほど寝られるようになって良かったと思う。
モントリオールは少し暖かい。暖かいからか物乞いのおじさんが犬を連れていた。パブロ曰く今週末は雪だそうだ。
「だからモントリオールに春なんかないって言ったろ。」
と彼は笑う。
少し言葉が聞き取れるようになってきた気がする。現地カウンセラーの人曰く、「最初のうちは平坦な日本語イントネーションにない英語の高い・低い音が聞こえないので仕方がない」のだそうだ。
まだまだ瞬発的な理解には欠けるが、何を言っているのかは分かるようになってきたし授業でも少しずつ発言できるようになってきた。このまま次のタームには1つレベルを上げたクラスに行ければ良いと思う。
将来のことについてもたくさん相談した。努力にあたり、資格とか何か結果を求めがちだし、もちろんそれが誰にとっても見易いものなのだけれど、自分にとっては経験や「楽しい」気持ちが一番の財産なのだとついつい忘れそうになる。
同じクラスには韓国人のママさんがたくさんいる。親が語学学校に通っていれば学費が免除されるとかで来ているのだそうだ。彼女たちの韓国語も少しだけ聞き取れるようになってきた。
グループワークであまり笑わない韓国人のママさんに
「マジャマジャ(その通り)」
と言ったらクスッと笑ってくれた。
夜には日本人の男の子の友達とシェアメイトとボーリングをしに行った。楽しかった。
モントリオールの物乞いのおじさんはよく犬を連れている。どの犬もいつもなんでもないような、「今日も寒いなぁ」というような顔をしていて、それはきっと愛情をかけて育てられている証なのだと思う。
いつか物乞いのおじさんと犬のポートレートを撮りたい。
モントリオール留学#8
4月8日。
また昼まで寝てた。
予定は無いけど宿題はあるので、カフェで勉強することにする。
ジンジャーティー。
この辺りで唯一ジンジャーティーが飲める場所だそうだ。
ただジンジャーティーと言ってもお湯の中に砂糖とレモンと生姜とハーブが入っただけのやつなので、温かいレモネードに近い。
なるほど確かに美味しい。どれだけ飲んでも身体が冷えない。写真を撮ってる時大きなイラン人男性の集団が私のカメラを指して何かいいながら去っていった。「俺カメラ持ってないんだわ。」みたいなことだったと思うけど、緊張した。
1週間生活してみて、モントリオールは公共施設のWi-FiよりカフェのWi-Fiがめちゃくちゃ早いと気がついた。ゲームが捗った。
また雪が降っている。
課題のオペラ座の怪人を読む。
ホストマザーにマザーの友達と今夜お茶に誘われた。慌てて断ってしまった。私は「突然のお誘い」にかなり動揺してしまうし苦手なのだ。かなり後悔した。面白そうだったのに。
落ちこんでいたらステイメイトのパウルの部屋から女性と電話してる声が聞こえて、あぁ彼も行ってないんだと思った。安心するところではないのだけれど。
明日からまた学校だ。宿題は終わってる。
私の名前は随分呼びにくいようで、先生はニックネームをつけようとしている。候補の一つに「ミムラ」が上がっている。発音って奥深いなと思った。
モントリオール留学#持ち物
モントリオールに来て1週間。
いるものといらなかったものをメモする。
女子大生がモントリオール行くときに参考にしてください。
【絶対いるもの】
・パスポート
・パスポートのコピー……日本人のパスポートは無くなるものだと思っておいたほうがいい。再発行に必要。学校の入学とかでも使うかもしれないので2〜3部あると便利。
・航空券、CAQ、ビザ発行許可証、入学許可証……CAQと航空券のプリントアウトが無いと飛行機乗れないと思う。ビザ発行許可証と入学許可証はイミグレーションチェックで必要。私は心配で全部2〜3部コピーしてった。ゴミになった。
・クレジットカード……2枚はいる。私はVISAとマスターカードを作った。初日に1枚止まってた。3ヶ月以内の留学ならクレカの付帯保険で保険わざわざ入らずとも乗り切れるのでは?
・キャッシュパスポート……マジで便利。デビットカードみたいなやつ。クレカで払えないような細かいお金もこれなら払える。トラベラーズチェックの現代版らしい。
・学生証……国際学生証だと良いのかもしれない。私は大学開いてなかったのでそのまま行ったけど今のところバスとかで学割効いてる。
・SIMフリースマホ……SIM挿すだけなので便利。私は日本からFidoを契約した。(後日この話を書く)
・外貨
乗り換え先のやつ。私はデトロイトで乗り換えたときにアメリカドルが無くて、スタバでお金が払えず焦った。乗り換え待ちの時間によりけりだけど10〜20ドル程度。
・現金……日本帰国後のお金。親が迎えにきてくれるとは限らない。
上記は手荷物に入れるもの。
下記はキャリーケースに。
・お気に入りの服とコスメ……これはマジでいる。服はお気に入りのものから持っていけ。可愛いの前では寒さなんか目じゃない。留学で落ち込んでも「明日もお気に入りの服とコスメを身に付けよう」と思って眠れる夜もあるので。
・UNIQLOウルトラライトダウン、極暖ヒートテック……モントリオールに春と秋は無い。冬>>突然の夏<<冬冬って感じ。暖かいアイテムが必要。日本のファッションコートは布と大差無いです。お気に入りの服を着るためにも暖かいアイテムが必要!!
・体洗うタオル……これがカナダに無くて泣きそう。泡立てるだけのやつは売ってるのになぜタオルは無いのか。
・電子辞書……授業中に携帯触るのは失礼なのおよそ海外も一緒なので。
・ヘアアイロン……髪は女の命ってIKKOが言ってた。
・ホストファミリーへのお土産……私は寿司の食品サンプルでした。
【どっちでも良いもの】
・筆記用具……こだわりがなければ1ドルちょっとで手に入る。
・モバイルバッテリー
・シャンプー、リンス、メイク落とし、スキンケア用品……1週間分くらいあればなんだかんだ便利。
・戸籍謄本(抄本)……パスポート盗まれたとき便利。
・薬……処方箋いるやつじゃなければ現地で手に入れようと思えば手に入る。処方箋いるやつは知らん。
【いらなかったもの】
・綿棒、コンタクト用品、歯ブラシ、タオル、ハンカチ、ティッシュ、スリッパ、雨具、生理用品……ジョンソンエンドジョンソン、ニベア、ダウなどが手掛けてるものあたりは当たり前のように現地にある。DOLLARAMA(カナダ版100均)に行けば全部揃う。
・変圧器、変換プラグ……カナダはプラグ一緒。電圧は日本から持ってくものを「〜240v」って書いてあるのに買い換えればいいと思う。
モントリオール留学#7
4月7日
今日は昼まで寝ていた。
ホストマザーとたくさん話した。学校で友達ができたこと、豆腐は普通のスーパーでも売っていること。ホストマザーの作る料理はとても美味しい。今日は豆とジャガイモを肉じゃがのような味で煮たものと炒り卵をジャスミン米と食べるというものだった。
今日はいくらか寒さが和らいでいる。街の西側まで出て散歩して、そのあとDOLLARAMA(カナダ版100均。1~4ドルのお菓子や食べ物など日用品はだいたい売っている。)でお弁当用のタッパーを買った。
モントリオール現代美術館の前で女子大生風の女の子が何人か踊っていた。コーヒーを飲みながら震えている男の子もいる。日本にいると私もああ見えるのかな、と思った。もし雨が降ったら美術館に行ってみようと思っているが、なかなか雨が降らない。
明日はワイファイのあるいい感じのカフェを探して勉強しようと思う。
モントリオール留学#6
4月6日。
朝起きてシェアメイトと一緒に朝ごはんを食べる。
こっちに来てから朝冷たいものしか飲んでなくてお腹の調子が良くないし、朝とても寒いので家から持ってきたほうじ茶と温めた牛乳を飲む。
今日も少しだけ雪が積もっていた。
金曜日は学校に人が少ない。
日本人だけのクラスだった。
慣れなのか、今日は少し授業についていけた。今までは先生に耳が聞こえるか心配されるくらいだったけれど、今日は尋ね返したり分からないとはっきり言ったりしてみた。それが功を奏した。
帰ろうとエレベーターに乗ると、同じくエレベーターに乗ってきた男の子に
「日本人ですか?」
と尋ねられた。彼は私より一つ年下の関西出身の男の子だった。
しばらくいろいろなことを話して、私は彼が着ているのを指差して言った。
「カナダダック、欲しいんです。」
そのあと私たちはダウンタウンにセールのカナダダックを探す旅に出た。しかしなかなか見つからない。シェアメイトのパブロ曰く、
「セールは先々週終わったよ。次のセールは8〜9月かな。」
とのことだった。
私たちはモントリオールでつらいことを話しながらコーヒーを飲んだ。留学に来てつらいことを話すのもどうなのかと思いつつ、たくさん話した。
寒い、風が強い、味噌汁がのみたい、寒い……。
そのあと昨日シェアメイトが紹介してくれた日本と韓国の食材スーパーで味噌と出汁とわかめを買った。男の子は
「梅干しが高いっすね、うわぁ、蕎麦も高いっす、オレこんなに日本好きになったことないっすよ。」
と、終始はしゃいでいた。久しぶりに頑張らずに楽しいと思えた。
彼と別れ、ふっと気持ちが軽くなっていることに気づいた。モントリオールの景色がいつもより真っ直ぐに見える。モントリオールはセピアの青色だ。綺麗な街だな、と思った。留学はつらいことがたくさんあって当たり前なんだな、と思った。
来週、シェアメイトとボウリングに行くから来るように誘った。こればきっと、楽しいと思う。少しずつ友達を増やせば大丈夫、と思えた。
薬局で母にバースデーカードを買った。祖父母にポストカードを買った。
パブロにクラブへ誘われたけれど、断った。
少し痩せた気がする。毎日たくさん歩いている。明日は西の街に行こうと思う。
モントリオール留学#5
4月5日。
雪が積もっていた。足で蹴ってみるとサラサラに乾いた雪だった。コロンビアから来た男の子に「日本の雪はもっとウエットで重いんだ。」
と言うと
「これは雪じゃない。氷だよ。」
と言われた。私の英語力の無さとコロンビアの気候からかなかなかわかってもらえなかった。
今日はすごく寒かった。人生で初めてダイヤモンドダストを見た。
英語の授業がついていけなくて本当につらい。くそ、と思った。絶対にわかるようになってやる、と思った。
今日は一緒にホームステイしてる子とモントリオールの山を登った。リスが5匹私の横を駆け抜けていった。
降りる頃には足ががくがくと震えていた。
家に戻って、みんなで夕食をとった。
コロンビアから来た男の子が私の前にいた日本人の話をした。
彼はタバコをよく吸う男の子で、タバコは三回吸ったら捨ててしまっていた、と話した。
お酒やタバコやマリファナの話をした。
以前行った居酒屋のずらりと並んだ日本酒の瓶の写真を見せると、喜んでくれた。
「日本人はみんな、あまり話さない。ずっと部屋にいるんだ。でも君は頑張って話そうとしていて偉いと思う。いい英語だよ。」
と、男の子が褒めてくれた。もともと人見知りな上に言葉が通じないから、もう結構頑張りに頑張りを重ねていて、自分で自分を褒めているところだったので本当に嬉しかった。あしたから学校でもたくさん話そうと思った。旅の恥は掻き捨てだ。
モントリオール留学#4
4月3日ののブログは消えた。
昨日の夜はなぜかずっと他のホームステイしてる人がみんないなくて、めちゃくちゃに孤独だった。孤立した、と思った。もともと日本でも友達が多い方ではないので、またここでもこうなってしまうのか、と思った。
別に友達を作りにきたわけではないけれど、やっぱり友達がいないと楽しくない。
メソメソした気持ちのまま学校に行こうとして、あ、やってしまった、と気づいた。
鍵が、ない。
スーツケースの中にも上着のポケットにもどこにもない。昨日の晩新しくした鍵をマザーからもらったばかりなのに!絶対になくしたなんて言えない!
幸いなくした場所は確実に家の中だし、というか絶対に自分の部屋だし、ということでずっと探していた。一通り探してもなくて、ベッドに座って、ああなんて情けないんだろう、と思った。
鍵を壊すし無くす、クレジットカードも問題ばかり起こるし、授業はついていけない、まぁこれは根性でなんとかするんだけど……言葉がわからない、友達はできない。
とりあえず前回壊した鍵の保険について確認したくて保険会社に電話をかけた。
涙が溢れてきた。しまいには涙声になって
「鍵を壊してしまったんですけど……。」
と言っていた。
壊した鍵は全額保証が効くらしいと聞いてよかった、と思い、でもこれから私はマザーに鍵をなくしたと謝罪せねばならず、お金は戻ってくるけど信用は戻ってこないな、と悲しくなった。
口頭ではうまく言えそうにないので紙に書いて謝罪文を読もうと思って書きながら、また泣いた。ホストマザーの前で泣かないように、今泣いておこうと思った。
深呼吸して、かつて鍵の置き場所と決めていた場所をもう一度みると、あった。
だろうな、と思った。なくしものはだいたいこういうものなのだ。
あーあ、と思って学校に行く。初日から遅刻は情けなさすぎる。
今日のモントリオール は一段と寒くて、雨が降っていて、学校に着く頃には指がパンパンだった。
学校で韓国人と日本人と仲良くなった。
私のような大学生が多いと思っていたけれど、30代から10代までいて面白い。
韓国語を習ってると話したら面白がってくれたので、覚えている防弾少年団の歌詞を諳んじてみた。大ウケだった。めっちゃいい曲なので聞いてほしい。
帰り道に3in1洗剤を買った。シャンプーからボディーソープまで一緒にできるやつ。
私はこれとドクターシーラボのクリームで日本にいるときより肌の調子がいい。
家に帰って洗濯をした。昨日勇気を振り絞って洗濯機の使い方を聞いたのだ。留学に来るまではまさか自分が洗濯機の使い方を聞くごときで緊張するなんて思ってもいなかった。
うまく出来たのでマザーがはちゃめちゃに褒めてくれた。正直すっごく嬉しかった。私は今年22歳である。
勇気が出てきたので、洗濯機待ちの間マザーに色々話しかけてみた。
「週末の予定は?」
「特にないの。モントリオールのどこにいけばいいと思う?」
「ウェブでWhere should I go Montrealで調べてみなさい。モバイルはなんでも教えてくれる。STMのアプリを入れておくといいわよ。ビオトープなんか綺麗だし、旧港の観覧車なんかもいいわね。公園もいいわ。」
私より先にステイしている男の子とも初めてまともに話した。
少し馴染めた感じがした。下手でも話せ、とは聞いていたけれど、実際色々自分の中で言い訳して話せなくなってしまっていた。
夕方、ブラジルから来た子が
「これからスーパーに行くけど、行く?」
と言ってくれた。
「行く!ちょっと待ってて!」
私より先にステイしてる男の子が色々教えてくれた。
正直あまり会話は通じていなかったし、緊張していて楽しいとかそういうレベルじゃなかったけれど、こっちに来て初めて自分に勝てた感じがした。
白菜はNAPPAで売ってることとか、穀物の種類が多いこと、ケールはかなり一般的な食べ物であること。スターバックスよりも美味しくて安いラテがあること、近所の博多ラーメン屋は広くて綺麗だけれどいつも空いていて、それはラーメン一杯が出てくるまでに1時間かかる上に美味しくないからだということ。
今日のモントリオールは異常に寒くて、雪が降った。4月にも雪降るんやなぁと思ったら、ブラジルとコロンビア出身の3人は目を輝かせていて、女の子なんか奇声をあげていた。
「コロンビアにもブラジルにも、めったに雪なんか降らないの!」
なるほど、と思った。雪って誰がみてもワクワクするものなんだと思った。
私は地元が降雪地帯なのもあって雪が降ってるのをみた瞬間今日は外に出るのをやめようと思ってしまうのだけれど、2人は夕食の後も外に飛び出していった。
明日郊外に行こう、という約束をした。
私は聞き取りが特に苦手で、その上3人はフランス語なまりが入っているので、私は彼らと会話をしにくい。でも返事をせねばならんと思い、
「行く!」
と言っておいた。
初めて連絡先を交換した。
一応文章で集合時間を確認した。
「それで間違いないよ。いける?」
と尋ねられた。
「もちろん!私は聞き取りが弱いから、確認したの。ありがとう!」
と打った。嬉しかった。こういうことなのかと思った。
留学で引きこもるのではなく、外に出て行くことは、物理的な意味だけじゃなくて、伝わらなくても気まずくても格好悪くても辛くてもなんとかコミュニケーションを取ろうとすることなんだと初めてわかった。知っていたけれど、初めてわかった。
今日の懸念事項は携帯の請求額が日本円にして一万円以上だったこと、手元の現金が底をついたこと、なぜか大学の履修登録が行われていたことだ。
不安は尽きないが、しかし明日も私は英語を話すのだ。